<X線CTを用いた評価方法>
・検査に時間がかかる
・試料サイズに制約がある
・樹脂と炭素繊維のコントラストが低く判別しづらい
・繊維1本1本が詳細に観察できるが、平均的な配向データはわかりにくい
・データ量が膨大なため、数値化が困難
<赤外カメラを用いた評価方法> 炭素繊維と基材の熱伝導の違いから、炭素繊維の配向や量を数値化。1点1分の高速測定が可能。
半導体レーザでスポット的に試料表面を周期加熱し、赤外カメラで熱の移動を検出することで、加熱点からの全周囲方向についての面内方向の熱伝導率を測定。測定データを「繊維配向同定法」により繊維密度分布関数でフィッティングをおこなうか、極座標グラフを⽤いてグラフ化し楕円フィッティングをおこなうことで、繊維配向状態を定量化することが可能となった。
■ ダンベル型CFRTP試料の繊維配向
試料の両側から樹脂を流し込んだ試料。中央部分で樹脂同士がぶつかり合う箇所を測定した。
熱が伝わる速度(熱拡散率)は、繊維の含有量や向きにより異なるので、全方位の熱拡散率の分布を測定することで、繊維の配向分布を明らかにすることが可能。
■ CFRTP材の炭素繊維配向分布
同装置により、試料内を10mmピッチでの分布測定をおこなった結果、樹脂の流れに沿って炭素繊維が配向していることが確認できた。
■ 熱拡散率と繊維含有量および繊維強度との相関
熱拡散率・繊維含有率・機械強度は、互いに相関がみられることが確認できた。
熱拡散率を把握することで、繊維状態を把握でき、さらに機械強度を把握することが可能になる。