エポキシ樹脂などを用いた熱硬化性のCFRPを成形するときに用いる金型には、事前に必ず離型剤を塗布する必要がある。この離型剤の多くは、有機溶剤を用いている。この作業のために次の課題がある。
・離型剤塗布工程とプリプレグ積層工程は作業エリアを共有できない
ボーイングの規定にあり、専用の離型剤塗布エリアが必要
・有機溶剤を使用する際には、作業者の健康に注意する必要がある
労働安全衛生法の規定で、保護具が必要
・離型剤は2度塗りをし、塗布後の乾燥に1時間ほど要する
待ち時間が生じるためネック工程である
・金型が重く、運搬に時間がかかる
複合材料の成形に用いる金型やカウルプレートの表面に、繰り返し利用できるPTFEなどの離型材層を設けることにより、離型剤の塗布を不要とすることに成功した。形状は平面でも曲面でも可能である。
離型層を表面に施工できる金型として、金属はもちろん多孔質のような特殊な表面の材料でも可能であり、、CFRP自体をカウルプレートとして用いることもできる。この離型膜を軽量な特殊基材に用いることで金型を軽量化でき、運搬が容易になり、作業者の腰痛防止にも役立つ。