ミズノ テクニクス 株式会社

成形 組物技術を用いた炭素繊維強化複合材料(CFRP)の用途展開

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技術分類:
[ 成形 ]
取扱商品:
[ 製品・加工品 ]
キーワード:
[ CFRP ] [ ブレイディング ] [ 曲がり ] [ 異形状 ] [ 組物 ] [ 複雑形状 ]

提案技術のポイント

① 「曲げ強度」について,組物技術は,シートワインディング製法と比較をして優位である.
② 組角度を変えることで,連続的に肉厚,曲げ・ねじり剛性を変えることが可能である.
③ 異形状・複雑形状の部材が成形可能である.(Ex. 曲がりパイプ・「U字」形状の部材.)
④ 異なる材料(強化繊維・樹脂)をハイブリッドすることで,剛性・強度や,振動特性が可変になる.

効果

・軽量化
・生産性向上
・品質向上
・振動特性

従来技術

■【シートワインディング製法】
 主にゴルフシャフト,バドミントンシャフトで適応されている製法である。一般的には一方向に引き揃えられた炭素繊維にエポキシ樹脂を含侵させたプリプレグシートを用いて,長手方向に対し強化繊維を一定の角度に配向させたバイアス材(±θ),長手方向に平行に配向させたストレート材,長手方向に垂直に配向させたフープ材,および補強材,これらについて所定の形状に裁断された部材をローリング方式でマンドレルと呼ばれる芯金に巻き付け,ラッピングテープを巻回した後に加熱硬化するという製法である。
 金型を用いたプレス成形と比較した場合,材料裁断から成形にかけて人の労力はかかるものの,比較的生産効率は高く,量産には適している。
■【内圧成型法】
 主にテニスラケット,野球バットに用いられる製法である。ゴルフシャフト同様,基本的にプリプレグシートのバイアス材,ストレート材および補強材により構成される。
 所定の形状に裁断された部材をハンドレイアップ方式でナイロンチューブを被覆したマンドレルに巻き付け,プリフォーム成形が完了した後にマンドレルを抜き,金型にセットし加熱硬化する。加熱硬化中の圧力は中空内部にあらかじめセットされたナイロンチューブに空気を送り込むことによって内圧を加え,金型形状に賦形させる。加熱硬化後に金型から脱型し,ナイロンチューブを除去し成形品が完成する。
 形状の自由度が非常に高く,金型設計により複雑な形状の商品化が可能な製法である。また,内圧成形法は中空構造を実現可能とする成形方法であり,芯材を使用した外圧成形に比べて軽量化を可能とする点も大きな特徴であるが,一方で省人化の面では問題がある。

新技術

■【組物技術を用いた製法(組物製法)】
 組物は織物・編物と並ぶ製布技術の一つで,古くから我々の日常生活で親しまれている。中でも組紐はその代表例として,着物の帯締や靴紐,携帯電話のストラップ等に用いられている。組物製法による複合材料としては,既に欧州で,自動車部品のクラッシュボックスのみならず,バンパービーム,シャーシのサイドアンダーフレームに使われている。組物複合材料の特徴は,組物を構成している強化繊維の連続性や剛性分布設計自由度の広さ,生産効率の向上・省人化にある。画像には,組物FRPパイプ自動作製装置と組物サンプルを示す。本装置は,主にゴルフシャフトをターゲットとし,パイプ状の組物を自動で連続生産するためのものである。
 組物製法の特徴は,
・ 組糸として,強化繊維(トウ)に樹脂を含浸させたトウプリプレグを用いることができる。
・ マンドレル長手方向に対して自由に組糸の組角度を設定できるため,設計自由度が高い。
・ 複雑形状のマンドレルに対しても,その形状にプリフォームが可能であり,形状自由度が高い。
昨今は特化した性能を有する樹脂開発も進み,それらの樹脂をトウプリプレグ化した材料により,耐衝撃性・振動特性に特化した成形品の開発も可能となっている。
 別の画像には,組物製法によるサンプルとして,ゴルフシャフト,杖,組物CFRPパタークラブ,「U字」型組物パイプサンプルを示した。

■【トウプリプレグ製造技術を活かした組物技術】
 強化繊維の原糸に樹脂を含浸させる「トウプリプレグ製造」においては,繊維の原糸に塗布する樹脂含有量を,巻き取られるトウプリプレグの全体に亘って所望の値に収束させることのできるトウプリプレグ製造装置を開発した。
 この装置を利用することで,様々な材料を組み合わせる,即ち,ハイブリッド化が可能となる。中でも,汎用エポキシ樹脂と柔軟エポキシ樹脂を含侵させた,2種類のトウプリプレグを用いることで,剛性を保持しながら,十分な強度・耐衝撃性があり,且つ,振動特性に優れた組物CFRPの開発も可能である。画像①には,曲げ振動のモード減衰比と柔軟エポキシ樹脂の割合の関係を示した。別の画像②には,曲げ剛性とモード減衰比の関係を示した。これにより,剛性と振動減衰性のバランスの解明とその適正化が可能となる。

技術の展開・連携

開発進度
開発完了 (2020年10月完了予定 進捗状況90%)
知的財産権
有り
共同研究者(役割)
岐阜大学:
・力学的特性・衝撃特性・振動特性の評価・まとめ
・生産技術に対するアドバイス,開発・評価
活用例
スポーツ用品,産業資材,他
・ 異形状・複雑形状を有する部材,枠(フレーム)
・ 衝撃・振動特性を必要とする部材 (ex.介護用品・自動車部品・他)
技術課題・制約
[課題] 現設備は,主にゴルフシャフトをターゲットにした自動作製装置であるため,最大外形に制約(φ30弱)がある.また,熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂としたFRTPへの対応は未開である.(現在,取組み中.)
[対処方法] 大口径化,並びに,FRTP対応等の設備改造や,新たな設備投資が必要である.
必要な連携先
組物CFRPに対する成形加工技術を確立するために,強化繊維・樹脂の各メーカーに加え,大学機関からのアドバイスは必須.また,30mmを超える場合の生産技術の確立には,生産設備の改善・改良が必要であり,新たな設備投資も視野に入れる必要がある.
技術のWEBサイト
https://www.mizuno-technics.co.jp/cfrp/technology.aspx

シーズの問合せ先

部署・担当者
生産技術部・渥美 貴弘 (あつみたかひろ)
住所
〒503-1314 岐阜県 養老郡養老町高田307-5
連絡先
TEL:0584-32-4120
FAX:0584-32-4119
お問い合わせフォーム

企業・機関概要

所在地
〒503-1314 岐阜県養老郡養老町高田307-5
連絡先
TEL:0584-32-4111
資本金・従業員数等
1億円・415人
生産品目
スポーツ用品,産業資材,他
主要取引先
ミズノ(本体),東レ,東邦テナックス,三菱ケミカル,他
海外拠点
中国
認証取得
ISO9001, ISO14001
企業・機関のWEBサイト
http://www.mizuno-technics.co.jp/

更新日:2020年2月3日

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